暗闇フィットネスとは
「暗闇フィットネス」とは、他人の目を気にすることなく、暗闇のなかで運動するエクササイズです。運動はしたい、でも人目は気になる、という女性に支持されています。ダンスフロアのようなフィットネスクラブが続々とオープンしています。~伊藤真哉(三重)
女性に人気
バイクエクササイズ
他人の目を気にすることなく、暗闇のなかで運動する「暗闇フィットネス」が人気です。従来のスポーツジムのイメージを覆す、DJが音楽をかけるダンスフロアのようなフィットネスクラブが続々とオープンしています。運動はしたい、でも人目は気になる、という女性に支持されています。
フィットネスクラブ「FEELCYCLE(フィールサイクル)」の東京・六本木店。ミラーボールから色とりどりの光線が飛び交い、大音量の音楽が流れます。インストラクターがDJさながらに盛り上げ、女性客が歓声をあげながら脚を動かしていました。
人目を気にしなくていい
45分間バイクをこいだ女性(32歳)は「暗いので、すごく汗をかいても周りを気にせずに集中できるところがいい」。通い始めて約2年。これまで別のジムではあまり続かなかったけれど、今は週に数回、足を運んでいるといいます。
フィールサイクル
暗闇効果
ニューヨーク発祥
暗闇でのバイクエクササイズは米ニューヨークが発祥です。フィールコネクション社は2012年6月に東京・銀座に1号店を出し、2017年5月20日オープンの仙台店を含め5年弱で全国26店舗に増やしました。客層は7割が女性で、20代から40代が中心といいます。暗闇効果で、明るいところで着るのは尻込みしてしまうような露出の多いウェアに挑戦する人もいるそうです。また、暗くても近くの人の気配は感じられるため、グループレッスンならではの一体感を得られる良さもあるといいます。
鏡がない
さらにポイントなのは、従来のスポーツジムには必ず設置されている、全身を映す大きな鏡がないことです。フィールコネクション社の広報担当者は「下手だったり体形に自信がなかったり、汗だくになったりしている自分の姿を見てテンションが下がらないように」と狙いを話します。
系列店として、暗闇の中で音楽に合わせてトランポリンを跳ぶエクササイズのスタジオも都内に3店舗あります。
ビー・モンスター
ボクシングジム
別の企業も後に続き、暗闇の中でサンドバッグをたたくボクシングジム「b-monster(ビー・モンスター)」が2016年6月に銀座にオープン。4月には都内に3、4号店を同時に出すなど好調です。
運動嫌いの理由
人に見られたくない!
スポーツで他人の目を気にする女性の気持ちは、スポーツ庁の調査でも明らかになっています。
2016年11月、インターネットを通じて18~79歳の男女約2万人を対象に行った世論調査で、運動・スポーツが嫌いなので1年前よりも運動・スポーツをしなくなった、もしくは運動量を増やさないと答えた1885人に、スポーツを嫌いな理由を聞きました。
その結果、「人に見られたくないから」という理由を選んだ人が14・6%いました。「苦手」、「疲れる」、「時間を取られる」、「お金がかかる」に続き、5番目に多かったです。特に10代女性で47・6%、20代女性で25・4%に上りました。
カーブス
男性の目を遮断
中高年の女性対象のフィットネスでも、会員約80万人は女性のみで、平均年齢62歳という「女性だけの30分フィットネス」をキャッチコピーに全国1783店舗を展開する「カーブス」(本社・東京都港区)の広報担当者は「女性にとって最大のハードルになる男性の目を遮断すること」を一番のポイントに挙げます。入会前は運動を全くしていなかったか、ほとんどしていなかった人が8割近いといいます。
「ブティック型」と「24時間セルフ型ジム」
専門誌「フィットネスビジネス」の編集者によると、フィットネスクラブは近年、毎年300店のペースで増えているが、従来の総合型のジムと異なり、バイクに特化するFEELCYCLEのように単一のプログラムに絞り込んだ「ブティック型」や、主にトレーニング用のマシンだけを置いている「24時間セルフ型ジム」と呼ばれる小規模の業態の店舗が新規店の大半を占めるといいます。編集者は「ブティック型では利用者同士の属性が似ていて、安心感があるところも人気の理由の一つ」と話します。